- 2008-10-27 (月) 11:27
- 神社
投稿者:吉祥さん
JR鶯谷駅で下車して小野照崎神社・飛び不動などをフラフラと巡礼しながら、かつて「新吉原(しんよしわら:吉原は江戸時代・振袖火事の後、人形町からこちらへ移動した)」の遊郭があった界隈を抜けて「山谷(さんや)」地区に突入します。
ここは所謂「ドヤ街」で今でも日雇い労働者などのたまり場になっています。ドヤ街としては全国最大の大阪・あいりん地区に次ぐ規模なのだそうです。
「露店が出ててさ、かたっぽだけの靴とかバックルのなくなったベルトなんかを売ってるんだよ。何に使うんだろ?あれって・・・。今で云うフリーマーケットってヤツだね(^_^)」と教えてくれたのは役者をやっている友人です。
さすがに今はそういう露店を見ることはできませんが、平日だと言うのに昼間から飲んだくれている人がいたり路上で寝ている人がいるのは当たり前。
木賃宿が並び酔っ払いどうし肩を組んで「オマエもっとまじめに働けよ!!」
「わかってる。わかってるんだけどさぁ・・・。゚(゚´Д`゚)゚。」
なんて風景もしばしば見かけます。
「あしたのジョー」で丹下のオッサンがジムを開いた泪橋(なみだばし)があったのもこの近くです。(今では川が埋め立てられたため「泪橋」も存在していません。)
江戸時代に処刑が行われた小塚原(こづかはら)の刑場へ引かれて行く受刑者がこの橋で家族と涙の別れをしたためこの名がついたといわれます。(なお、泪橋は品川区にも存在しておりこちらも八百屋お七が処刑された「鈴が森の刑場」へ向う旧国道沿いにあります。(実は私の地元)現在は「浜川橋」と名前が変わっています。)
以前は地名として台東区浅草山谷1~4丁目が存在していましたが1966年に住居表示制度の実施により「山谷」という地名はなくなりました。・・・なので厳密には通称「山谷」と呼ばれている地域です。
新吉原に小塚原の処刑場に山谷・・・そんな街の一角に社殿を構えるのが玉姫稲荷神社(たまひめいなりじんじゃ)です。
開かれた境内は広々としていて清々しい印象です。
天平宝字4年(760年)に京都の伏見稲荷より勧請されたお稲荷さんです。
『江戸砂子』には以下のように書かれています。(以下口語訳)
「玉姫稲荷は京都の伏見稲荷より勧請された。王子稲荷ともご神縁が深い。(王子稲荷は後ほどご紹介しますが、「東国三十三国」の稲荷の頭領です。)
正慶2年(1333年)新田義定の鎌倉攻めのときに弘法大師が描かれた稲荷像を襟掛けにしてお守りにしていた。その稲荷像を瑠璃(ラピスラズリ)の宝珠とともにこの地に奉納したことから「御玉ひめの稲荷」と呼ばれるようになった。
江戸時代に描かれた「江戸名所図会」「江戸名所花暦」などにも登場します。
昭和の時代には作家の高見順、版画家の棟方志功にも紹介された社です。
社殿は明治44年4月9日の新吉原の大火・大正12年9月1日の関東大震災および昭和20年3月10日の東京大空襲によりたびたび焼失。現在の社殿は昭和27年5月に再建されたものです。
拝殿向って右手には末社の口入り稲荷神社があります。
こちらは江戸の新吉原にあった高田屋という口入屋(人材斡旋業)の庭内に鎮座していたお稲荷さんです。主人の夢に現れ「吾を玉姫稲荷の境内に遷し祭れば、参詣する信徒の人々に今よりもなお一層のご益を授け、諸願を叶えてつかわす。」とお告げしたのでここに祀られることになったそうです。
こちらで授与される「口入り狐」と言うお守りの狐さんがとっても可愛いのです。
「口入狐」は今土焼きの小さなお稲荷さんです。
「商売繁盛」を祈願する方は羽織姿の立ち狐を「縁結び」を祈願する方は裃姿(かみしもすがた)の座り狐を拝受します。狐にはオス・メスがあり願いが叶ったら(またはそろそろ交代の時期と感じたら)お相手の狐をいただいて夫婦狐にして神社に奉納します。
この狐さんメチャ可愛いです。
吉祥のデスクトップアクセサリーとして東大寺千躰仏とともに鎮座ましましています。神社の方はけっこう奥にいらっしゃるらしく用があるときは根気よく呼んでください。
口入り稲荷を奉納する時は拝殿に上げていただけるのですがそちらの天井画も美しいです。ちょっと上を見上げてみてください。
そして記事を書くために調べていたら奥に「狐のお穴」が祀られていることが判明。本殿の床下への入り口となっているようで、数少ない狐の実用に耐える「お穴」です。
両脇には奉納された石狐がたくさんいらっしゃるということで近々再訪予定です。下町の人たちは人見知りしません。境内で誰かに会うと「こんにちわ」と挨拶してくれます。
道で地図を確認していると地元のおばさんが「どこ行くの?」と声をかけて道を教えてくれます。
この地にドヤ街がるのはたぶん偶然ではなく人々が温かいからです。困ってる人を見ると放置できないのです。
玉姫稲荷神社を参拝したらそのまま浅草へ。(改めてご紹介する今戸神社もこの近くです。)
川沿いを走る江戸通り沿いには乳待山の聖天さんがいらっしゃる本龍院があります(本龍寺とは違うので注意)。
聖天さまはガネーシャ・象のお姿をした仏さまでその霊験のあらたかな事で知られています。寺務所では大根が販売されておりお供えすることができます。境内にはいたるところに大根と巾着が彫られています。聖天さまを祈念することで得られるご利益を表したものだそうです。
聖天さまは約束に対して厳しい仏さまとしても有名です。お約束をしたら必ず守られますように。できない約束はしないほうがいいです。
さらに700mほどで浅草寺に到着。
このルートだと本堂の裏から浅草寺にはいることになります。浅草の観音さまとして有名な浅草寺は今さらご案内する必要はないと思いますので名物を二つほど。
あ!!その前に鎮護堂のご紹介を・・・。
伝法院どおりをちょっと入ったところにある浅草のおタヌキさまです。信楽焼きのタヌキが並ぶちょっとした癒しスポットです。
仲見世通りから少し入ったところに「舟和」があります。
こちらの芋羊羹は絶品です。
是非お試しください。
雷門脇には「三定」。
天ぷらで有名なお店ですがここでは是非「かき揚げ天丼」をどうぞ!!(今は「中かき丼」と改名されています。)
かき揚げというとなんとなくあまり物の寄せ集めというイメージがないですか?「天丼にしたいけど予算がないからかき揚げ丼にしよう・・・。」みたいな・・・。(かき揚げファンの方スミマセン)
三定のかき揚げ丼はそんなマイナーなイメージを払拭!!
大きなかき揚げには芝海老・イカ・貝柱がたっぷり。メチャメチャおいしいです。
ただしお値段もそれなり・・・。吉祥も予算がない時は迷わず本殿向って左手裏のロック座界隈へGO!!
かなり裏町の雰囲気。もつ煮込み・おでんなどがおいしいです。浅草っぽいのはこちらのほうかも??でもガラは悪いです (。・x・)ゝ
今回ご紹介したルートは吉祥の散策ルートです。距離にして5kmチョイ・・・。単純に歩いても1時間20分前後かかります。幸い都バスも走っているようですのでご利用ください。
あと都内では新宿についで比較的治安の悪い場所でもありますので手荷物には充分気をつけてお出かけくださいませ。人懐こい人が多いですが危なそうな人に声をかけられたら逃げなきゃダメですよ。
ご祭神:
須佐之男尊
大市比売の御子神
宇迦之御魂大神(稲荷大神)
神徳:
衣食住を司る広大無辺の神 商売繁盛・交通安全
境内末社:
八神殿(白山神社・八幡神社・八坂神社・春日神社・金刀比羅神社・松尾神社・天祖神社・王子神社)
猿田彦神社(鬼門さま)
口入稲荷神社
住所:東京都台東区清川2-13-20
アクセス:
<バス>
台東区循環バス「めぐりん」・・・・・・清川一丁目下車徒歩三分
上野広小路~南千住・・・・・・・・・・・清川二丁目下車徒歩三分
東京駅八重洲口~南千住・・・・・・・清川二丁目下車徒歩三分
日暮里駅~亀戸駅・・・・・・・・・・・・・清川下車徒歩三分
<JR>
常磐線南千住駅・・・・・・・・・徒歩十分
<地下鉄>
日比谷線南千住駅・・・・徒歩十分
サイトリンク:
玉姫稲荷神社公式HP
~江戸の石狐~玉姫稲荷神社
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