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春日大社(かすがたいしゃ) 奈良県奈良市

投稿者:吉祥さん

近鉄奈良駅前の行基の噴水を右手に見て登り大路を東に進んで興福寺が途切れた交差点(県庁東)を南へ。左手に一の鳥居が見えますから鳥居をくぐってまっすぐに進めばやがて春日大社(かすがたいしゃ)に到着します。

・・・というのがおそらく一般的な観光ルートではないでしょうか?(約2.1km)

足に自信がある方は先に東大寺・大仏殿に参拝して二月堂・三月堂から手向け山八幡経由で春日大社に入るルートもあります。(約2.5km)

で・・・今回はもう少し足が丈夫な人のために私のお気に入りの寄り道できる場所が満載のルートをご紹介します。

近鉄奈良から興福寺の境内を抜けて五重塔前から五十二段の階段を下って猿沢池へ。この階段は悟りにいたる段階をあらわしていると云われています。

猿沢池を左手に見てどんどん南へ進み少し広めの通りに出たら右に曲がります。目印は左手にある「元興寺」のバス停です。

そのまま大きな道を道なりに進むと「福地院北」という交差点に出ます。

さらに東へ「高畑」の交差点も突っ切ってしばし進むと「志賀直哉旧居」の立て札が見えます。志賀直哉旧居の脇を抜けてしばらく進むと「ささやきの小道」に入ります。

500m先には新薬師寺さらに1kmほど先には白毫寺があります。(後述)

「ささやきの小道」と名づけられた春日さんの鎮守の森を抜ける道は木の根がはびこり陽光がさしてそれは美しいです。

運がよければ鹿が草を食む姿を見ることができます。

東京育ちの私は自然の道に慣れていないので木の根に足を取られないようにしながらゆっくり歩きます。靴を通して伝わってくる地面の感触と樹木が発散する香りがたいへん心地よくてずっと歩いていたくなります。

突き当たったら左へ進むとを春日大社の参道に出ます。右手に進めば程なく本殿に到着します。「あおによし」といわれる赤・白・碧の配色は古来から神社仏閣に多く用いられています。奈良時代の神社仏閣には古色をよしとする建造物が多いのですが春日さんの建造物は色鮮やかです。

710年奈良に平城京が造営されたときに鹿島神宮から武甕槌命(タケミカヅチノミコト)を勧請したのがはじめといわれます。武甕槌命の神は国譲りに反対した大国主命の息子である建御名方(タケミナカタ)との力比べに勝利し、葦原中国を平定しました。

また神武東征においては混乱する葦原中国を再び平定する為に、高倉下(たかくらじ)の倉に自身の分身である佐士布都神という剣を落としたとも云われています。

神護景雲2年(768年)11月9日、称徳天皇の勅命により春日山の中腹となる今の地にの地に壮麗な社殿を造営して香取神宮から経津主命・枚岡神社から天児屋根命・比売神を勧請して合祀されたのが現在の春日大社の始まりです。

時間に余裕があればぜひご本殿の「特別参拝」をしてください。
奥の本殿まで上がることができます。

大幣(おおぬさ)で身を清めて参拝すると左右対称の美しい中門があります。

門の向こうには4つのお社があり第一殿から大四殿まで武甕槌命・経津主命・天児屋根命・比売神が祀られています。(中門の中には入れません)

左甚五郎の作とも云われる捻廊を下ると気持ちのいい祝詞の合唱が聞こえてきます。うれしくなってその方向に駆け出すと小さな板敷きの部屋があってその中で祝詞のCDが流れていました。

そばに置かれた祝詞が印刷された紙を見ながらエンドレスで流れる祝詞を聞くのも楽しいです。長いので今どこを読んでいるのかわからないのですがそのうち一巡終わりますからその時がチャンスです。後は神主さんたちと(CDですが)祝詞の大合唱を楽しめます。

お参りの後には社務所に立ち寄って「鹿みくじ」を引きたいです。
かわいらしい鹿が咥えたおみくじは記念になります。

寄り道せずにここまで約3・5kmの道のりです。

余裕があれば神苑を抜けて東大寺二月堂・三月堂を目指すのも素敵です。三月堂の手前にある手向け山八幡宮は菅原道真も和歌に詠んだ由緒正しき神社です。

「このたびは幣もとりあへず手向山 紅葉の錦神のまにまに」

三月堂(法華堂)には不空羂索観音を中心とするすばらしい仏像がずらり。
二月堂(観音堂)からの眺めはすばらしいです。

余裕がない場合はバスで近鉄奈良駅に戻るか東大寺南大門前に人力車がいます。大雑把に1時間1万円…もっと短い時間の設定もできるはずです。乗る前に行きたい場所と降りる場所を伝えて金額を聞いてから案内してもらうといいです。

車夫皆さんはよく勉強しているのでガイドブックに乗っていない新しい奈良を発見できますよ。

春日大社の背後にある若草山は標高342m、面積33haの山。三笠山(みかさやま、みかさのやま)とも呼ばれます。お椀を伏せたような形が美しい山です。

三笠山は毎年一月に行われる山焼きの行事でも有名です。山焼きの由来は、春日・興福寺と東大寺の領地争いがもとだと伝えられます。ところが近年この説に春日大社と東大寺から異議が出たため現在では地元のガイドさんは「山頂にある鶯塚古墳は江戸末期までウシ墓と呼ばれ、ここから幽霊が出ると云われていました。

「若草山を翌1月頃までに焼かなければ翌年に不祥事件が起きるという風聞がありむやみに放火する事件が相次いだため現在の山焼きの行事が行われることとなりました。」と説明するように指導を受けているそうです。

この山焼きの炎は一月の澄んだ夜空に映えて美しいです。

山焼きの前後は危険なため山頂に向かう奈良奥山ドライブウェイは通行禁止になります。山焼きの直後 交通規制が解除された若草山に登る機会がありました。

焼けた草の匂いがなんとも心地よくまだ人がいない展望台から見下ろした奈良の町の美しかったこと…。

奈良の町は文化財の宝庫ですからどこを歩いても見所満載です。
その中ですきなスポットをいくつかご紹介します。

新薬師寺 奈良県奈良市高畑町1352

「新」は「あらたか」という意味だと云われています。
・・・平安期の薬師如来を中心にした等身大の塑像の十二神将が見事なお寺です。

開基(創立者)は747年 光明皇后が聖武天皇の病気平癒を祈って建立したと伝えられます。華厳宗のお寺です。奈良時代には南都十大寺の1つに数えられていました。

土間の本堂は古い寺院の特徴で靴を通して伝わってくる土の感触が心地よいです。近年 本堂の東側にステンドグラスがはめられました。東方 瑠璃光浄土(薬師の浄土)を再現しているといいます。賛否両論ありますが私は奈良時代の建造物とガラスのコラボを美しいと感じました。

白毫寺 奈良県奈良市白毫寺町392

新薬師寺からさらに1kmほど南東にあるお寺です。

畑の中の道は心地よく歩けます。住宅街を抜けていくと小高い石段がそびえます。

近鉄奈良駅から歩いてすでに足はヘロヘロ…そこへこの階段はけっこうきついです。

でもこの石段の上には閻魔さまが待っている!!そう思うと元気が出ます。鎌倉時代のリアル閻魔さんは恐ろしく愛しいです。
少し遠いですがぜひ足を伸ばしてください。お土産には閻魔手ぬぐいがオススメです。

元興寺・十輪院 奈良県奈良市十輪院町27

福地院北の交差点の北西方向にある元興寺の塔中のひとつです。

こちらにある石仏龕は実に見事です。地蔵菩薩を中心として十王(閻魔ファミリー)・弥勒菩薩・阿弥陀如来・観音菩薩・不動明王・持国天・多聞天など仏の世界が石彫りの龕の中に展開しています。

もともとは野ざらしだったものに鎌倉時代に覆堂が建てられたといいます。

 
奈良は町全体が文化財なので他にもオススメスポットがたくさんあります。
地図を片手に散策してお気に入りの場所を探してみてください。

住所:〒630-8212 奈良市春日野町160
電話番号:0742-22-7788


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アクセス:
JR大和路線・近鉄奈良線「奈良駅」から奈良交通バス(春日大社本殿行)約11~15分、「春日大社本殿」下車すぐ。または奈良交通バス(市内循環外回り)約9~13分「春日大社表参道」下車、徒歩約10分。

参考サイト:春日大社 公式ホームページ

補足:
☆ささやきの小道は500mほどの短い道ですが人通りは少ないです。プログで「女性の一人歩きはやめましょう。」と書いている方もいたことを補足しておきます。外灯がないので夕方以降はおそらく真っ暗です。良識をもって自己責任でお願いします。

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コメント:2

e-wow 09-06-04 (木) 0:10

先日、ある新聞のコラムで春日大社の中に「耳の遠い」神様が祀られているのを知りました。
御名前は失念してしまいましたが、「耳が遠い」から参拝する前に社の柱を叩く云々、、、。と書いてあったように思います。
間違ってたら御免なさい。

昨夏、春日大社に詣りましたが、いつ見てもあの灯籠と朱色はイイ!

吉祥 09-06-09 (火) 1:06

e-wowさま

 コメントありがとうございます。
「耳の遠い神さま」というと恵比寿さまを思い出します。

伊邪那岐尊と伊弉冊尊が結婚の儀を行ったときに求婚する順序を間違えてしまいそのために生まれた神さまには骨がなかったといいます。
 「蛭子(ひるこ)」と名づけられ葦の船に乗せられて海に流されたその子が恵比寿神だと云われています。

 関西方面では恵比寿さまは「耳が遠い神さま」といわれており、初恵比寿の時には参拝客は大声で「えべっさん!!たのんまっせ!!」と三回叫ぶそうです。

 春日大社の「耳の遠い」神さまが恵比寿さまかどうかはわかりませんがご参考まで…。

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