- 2008-10-17 (金) 16:46
- 神社
投稿者:吉祥さん
大阪は阿部野橋にある安倍清明神社(あべのせいめいじんじゃ) をご紹介します。
「京都じゃないの??」って思うでしょう?
京都は一条戻り橋にある清明神社(安倍はつかない)は有名ですがこちらは阿倍王子神社が管理する末社です。地元のタクシーの運転手さんでも知らない方も・・・
(確立50%くらい(^_^;)
その場合「阿倍王子神社(あべおうじじんじゃ)へ行ってください。」と云えば大丈夫です。
あべの筋にある阿倍王子神社の右脇の路地を入ってつきあたりを右に進むと右手に小さな鎮守の森があります。(徒歩2分くらい)住宅街の中にあってそこだけスポット的に神社な空気になっています。
天王寺駅前(阿倍野)からは路面電車も出ています。たった三駅ですが昭和初期の気分が味わえます。
安倍清明神社は安倍清明生誕の地に1007年(寛弘4年)に創建されました。晴明の子孫と称する保田家が代々社家として奉仕していましたが幕末社家の没落とともに衰微してしまいます。明治時代には文政年間(1818年~1830年)に堺の商人・神奈辺大道心が建立した「安倍晴明生誕地」の石碑と小祠だけが遺されるのみとなってしまいます。
明治末に復興が計画され1921年(大正10年)阿倍王子神社の末社として認可されました。社家の子孫保田家より旧社地の寄進を受け1925年(大正14年)現在の社殿が落慶しました。
大戦中、焼夷弾が落ちましたが不発だったため「災難除けの神」としても信仰されることになります。
境内には清明が産湯に使ったと言う井戸があります。参道左手にあるキツネの像は「葛の葉」。人形浄瑠璃・『蘆屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)』の「葛の葉」に登場する霊弧です。阿倍清明生誕譚としてこんな話が伝わっています。
千年以上昔、阿倍野に安倍保名(あべのやすな)という男が住んでいました。あるとき、和泉(いずみ)の信田明神(しのだみょうじん)にお参りをすませた帰り道、狩人に追われた白狐を助けます。
後に保名のところへ葛の葉という美しい女性が尋ねてきます。ふたりは結婚してやがて子供が生まれ、安倍童子(あべのどうじ・晴明の幼名)と名付けられました。安倍童子が6歳の頃葛の葉は庭の花に目を奪われうっかり狐の本性を表して童子に見られてしまいます。
「本性を見られたからにはもういっしょに暮らすことはできない。」葛の葉は障子に歌を書き付けて信太の森へ帰ってしまいました。
恋しくば 尋ねきてみよ 和泉なる 信太の森のうらみ 葛の葉
すらりとした躍動的な姿は霊弧・葛の葉が飛来するところをイメージして作られたそうです。
約180坪ほどの小さな神社ですがとても気持ちのいい空間です。
尚、安倍清明神社は阿倍王子神社(あべおうじじんじゃ)の末社になります。お越しの際には阿倍王子神社の神さまにもご挨拶されることをおススメします。
近くには住吉大社があります。…がこちらは有名で広大な神社ですので別の機会のご紹介させてください。
阿倍野から四天王寺と言う聖徳太子創建のお寺があります。中門から塔・金堂・講堂が一直線に並び周囲を回廊が囲う伽藍形式は「四天王寺式」と言われ、日本最古の建築様式です。(教科書にも出てましたよね。)
日本に仏教が伝来した6世紀頃、仏教を信仰したい蘇我氏と従来の神道を重んずべきと主張する物部氏との勢力闘争が激化。聖徳太子の父君・用明帝の崩御を機に合戦になりました。もともと軍事に長けた物部氏の巧みな戦略に蘇我氏側は苦戦を強いられます。
その時、崇仏派の蘇我氏についた聖徳太子が自ら白膠木の木で四天王像を彫り、頭に巻きつけ 「もしこの戦いに勝利したならば、護世四王(してんのう)のために寺を建てよう!!」と誓願されます。その姿に勢いを取り戻した蘇我氏は見事に勝利。
聖徳太子はその誓いを果すために四天王寺を建立されました。
・・・ってなんとなく神道の敵みたいなお話ですが(;´Д`)
近年、大阪の羽曳野周辺で物部氏の邸宅あとが発見されました。当時は瓦は寺院建築にしか使用されなかった瓦が発掘され、当時の戦いが蘇我=崇仏派・物部=神道派という単純な図式ではなかったのではないかと議論を呼んでいるそうです。(地元のマニアなタクシーの運転手さん情報)
四天王寺は何度も兵火や落雷で焼失しています。第二次世界大戦の時の大阪大空襲で境内のほぼ全域が灰燼に帰しました。しかしその都度人びとの協力によって復興します。
これだけの大きな寺院が国の力でなく人々の力で支えられている背景には聖徳太子信仰の篤い想いがあるのだと拝観するたびに感激します。
四天王寺式に建立された中心伽藍は1963年の再建。コンクリート作りの新しい伽藍ですが色鮮やかなその姿は大阪のイメージにぴったりマッチしています。拝観は夏は16:30(入場16:10)冬は16:00(入場15:40)までです。ちょっと早めなのでご注意ください。(私は何度か滑り込みアウトで拝観を断念しています (。・x・)ゝ
御祭神:安倍清明大神(あべのせいめいのおおかみ)
住所:大阪府大阪市阿倍野区阿倍野元町5-16
電話番号:06-6622-2565
アクセス:
阪堺上町線(路面電車)東天下茶屋駅下車、東南へ徒歩5分
大阪市バス、天王寺(阿倍野橋)バス停より住吉車庫前行。王子町王子神社前にて下車。
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コメント:5
- よぴ 08-11-16 (日) 11:24
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はじめまして。
阿倍野のちかくに生まれ育ったのに知らないことがたくさんで
楽しく興味深く読ませていただきました。
帰省の際には訪ねてみようと思います。
いつでもいけるときにどうしてしらなっかたのかなーと
ちょっぴり悔しいです。(笑) - 吉祥 08-11-18 (火) 23:24
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よびさま
コメントありがとうございます。
安倍清明も魅力的ですが葛の葉伝説にも惹かれます。
大阪には素敵な史跡がたくさんあって江戸っ子の私は羨ましいです。
そしてどのお店に入っても安くておいしい!!
大阪最高です(*´∀`)つ・ - にんにん 09-05-02 (土) 8:43
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はじめまして!
こちらの神社は、自転車でうろうろしているときに見つけまして
参拝したのですが、不思議な雰囲気の神社で大好きになり
また子供をつれていきました!こちらを紹介してくださるサイトは、今まで見たことがなかったので
嬉しいです♪逆立ちをしている狐像がなんともユニークで大好きです。
- 唯愛 10-02-06 (土) 0:56
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15年程前、近くに住んでいました。
買い物に行くのも、駅まで行くのも、阿倍野王子神社の前を
通り、時間がある時は阿倍野清明神社にも立ち寄っていました。記憶に残っているのは、阿倍野王子神社の御神木が枯れかかっていたのと、阿倍野清明神社の隣?の家の犬が、う○こを石畳の上にしていて汚かったこと、それと隣のマンションの手前でばっさり枝が切られていた大きな樹の事です。
市役所に電話をして、色々とたらい回しされた挙句、氏子の代表の方の電話番号を教えられ、色々と訴えたものの、何も改善されておらず歯がゆい思いをしました。
最近は綺麗に管理されているのでしょうか?
行かれた方が、そのような事を書いていらっしゃらないので
きっと、改善されたんですね♪
良かった~・・・。 - 吉祥 10-03-10 (水) 21:48
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唯愛さま
私が参拝した時には犬の○んこはありませんでした。
唯愛さんが根気強く掛け合ってくださったおかげではないでしょうか?神社は神さまにはモチロン参拝する私たちにとっても、気持ちのいい場所であってほしいと思います。
葛の葉狐と阿倍清明公に想いを馳せつつ ぜひ再訪されてくださいませ。
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